再生誘導医学協働研究所は、大阪大学と株式会社StemRIMが共同で設置した「再生誘導医薬」の開発に特化した研究所です。我々の身体自身がもつ怪我や病気を治す力を「再生誘導」と定義し、その再生誘導を自在にあやつる「再生誘導医薬」の開発を通じ、病気に苦しむ患者さんの手助けをすることを研究所のミッションとしています。
第一世代の再生誘導医薬は、大阪大学医学系研究科玉井克人寄附講座教授(再生誘導医学寄附講座)によって見いだされました。本シーズは、大阪大学発ベンチャーである株式会社StemRIMに導出され、皮膚難病である表皮水疱症に対する有効性が臨床試験によって実証されています。再生誘導医薬は我々の身体自身がもつ怪我や病気を治す力を利用するため、その適応範囲は特定の疾患にとどまりません。第一世代の再生誘導医薬は、脳梗塞、慢性肝疾患、変形性膝関節症に対しても画期的な治療薬となる可能性があり、その効果を実証すべく臨床試験が行われています。このように、再生誘導のコンセプトや再生誘導医薬の有効性は実証されつつありますが、いまだ有効な治療法が確立していない患者さんに再生誘導医薬を届けるためには、さらに再生誘導の研究開発を加速化する必要があります。そのためには、基礎研究から臨床開発まで一貫して推進できる全く新しい組織が必要不可欠であり、大学と企業が密に協業できる協働研究所の設置に至りました。
多くの適応疾患をもちうる再生誘導医薬の開発を最速で進めるためには、各臨床分野の専門家が結集する必要があります。そのため当研究所は、大阪大学の研究者のみでなく、国内外の研究者と共同研究を計画しており、その数は着実に増加しています。また、我々が着目する再生誘導という生命現象は新しいコンセプトであり、未解明なメカニズムを明らかにする基礎研究も大切になります。その研究を推進するために当研究所では、次世代シークエンス技術と生体イメージング技術に注力し、研究者がこれらの最先端技術を活用できる環境を整えています。さらに再生誘導医薬の継続的な開発を担保するためには、研究者の養成が不可欠です。当研究所では次世代の再生誘導医薬開発を担う若手研究者を積極的に受け入れ、その成長を全力でサポートします。このように多くの研究者が密接に、垣根なく協力できる「場」を提供することで、再生誘導医学協働研究所が世界をリードする再生誘導医薬の開発拠点となることを目指しています。
我々の理念にご賛同頂ける方、再生誘導医薬の開発にご興味をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。
病気に苦しむ患者さんに、一日も早く再生誘導医薬をお届けするために構成員一同全力で研究開発に取り組んでいます。ぜひ我々の活動にご注目ください。
再生誘導医学協働研究所所長 遠藤 誠之