再生誘導医薬とは

「再生誘導医薬」とは、生きた細胞や組織を用いることなく、医薬品の投与のみによって、再生医療と同等の治療効果を得られる新しい医薬品です。

生体には本来、怪我や病気で損傷し失われた組織を自ら修復し再生する、自己組織再生能力が備わっています。これは、様々な組織に分化することが可能な(多分化能を有する)幹細胞が生体内に存在するためであり、幹細胞が損傷組織において必要に応じた増殖能と分化能を発揮することで、組織の機能的な再生が促されます。

この生体が本来備える組織再生機序を最大限に効率化するのが再生誘導医薬です。

再生誘導医薬は、組織再生能力の基盤となる幹細胞の供給量を増やすことで、組織再生を促進します。具体的には、現在当研究所で最も開発の進んでいる再生誘導医薬の一つは、その投与によって、骨髄のなかに存在する間葉系幹細胞を末梢循環血流中に放出(動員)させることで、体内を巡る幹細胞の量を増加させ、損傷組織に集積させることで、損傷組織の再構築を加速する働きを有しています。

患者さんご自身の体内で、患者さんご自身の幹細胞による再生医療を実現するのが、我々の目指す再生誘導医薬のコンセプトです。